「顧客消滅」時代のマーケティング ファンから始まる「売れるしくみ」の作り方
著者 小坂裕司 PHPビジネス新書
この本が出版されたのは2021年3月11日。つまりコロナ禍の真っ只中です。
この本で紹介されているお店や会社は、コロナ禍の真っ只中にもかかわらず、同業者が軒並み業績を落とす中でも好調を維持しています。
それは、レストラン、バー、呉服店、和菓子店、お茶の製造販売、住宅リフォーム、えッ?墓石店も!?・・・といった個人向けのご商売に限りません。BtoBのお仕事でも、です。
実は、この本で紹介されているお店や会社は、著者の小阪裕司氏が主宰する『ワワク系マーケティング実践会』の会員さんたちです。いったい彼らは、この会員組織で何を学び、そして何を実践しているのでしょうか?
「もし、顧客リストがなかったらと思うとゾッとする」
これは、この実践会を主宰している小阪裕司氏が会員企業と話す中で、よく出て来るフレーズだそうです。
ここで注目して欲しいのは、顧客リストの『顧客』と言う言葉です。
著者が言う『顧客』の意味とは・・・。
『顧客』とは、いわゆるリピーター、さらにはファンといった、そのお店や会社との強いつながり、つまり「絆」を持った人のことを言う。その『顧客』に対して、『お客さん』とは、これから『顧客』になってくれる人の事を言う。
話を元に戻しますが、
「もし、顧客リストがなかったらと思うとゾッとする」・・・どういう意味かと言うと、あなたのお店・会社と”絆”で結ばれた”温められた顧客リスト”があれば、今回のコロナ禍のような困難にぶつかっても打つ手がある、手が打てる。ということなのです。
この本で紹介されている会員企業は皆、普段から顧客とのコミュニケーションを欠かさず実践しています。
その結果得られたこの”温められた顧客リスト”のおかげで、打つべき手を打てた。コロナ禍といった困難にも動じることなく業績を上げられたのです。
最後に、この本の著者の言葉を紹介します。
「顧客リストこそが、どんな時代が変わっても価値を失わない「資産」であり、それがこの危機の時代からあなたのビジネスを守ってくれる最強の武器なのである」
余談ですが、昔のお話。
昔の商人が、火事になった時に真っ先に持ち出したのが『大福帳』です。
火事で店を失い、商品を失っても、家宝を失っても、その後の挨拶回り、そしてゼロから商いを蘇らせることが出来る・・『大福帳』とは、そんなとても重要なものだったのです。(井戸に放り込んでも大丈夫なように特殊な加工をしていたそうです。)
著者の説く顧客リストとは、この大福帳の精神を今に受け継ぐ重要なものだと言えるのです。
令和5年も、もうすぐ終わります。
今ではコロナ禍は収まったようにも思えますが、この先、またコロナ禍のようなことが起こらないとも限りません。
またコロナ禍のような緊急事態が起きたとしても、この本で紹介されたお店・会社の事例のように動じることなく、末永く楽しく”良いお客様”に囲まれた、心豊かな商いをしたい商売人を志す方には、是非読んで欲しい一冊と言えるのです。
では、この本との出会いがきっかけとなって、あなたのお仕事が飛躍することを心から願っています。
「顧客消滅」時代のマーケティング ファンから始まる「売れるしくみ」の作り方
著者 小坂裕司 PHPビジネス新書
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